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ダージリン図鑑No.14 サングマ&タルザム茶園 最終更新日2021/10/5

サングマ&タルザム(Sungma & Turzum)
茶園評価:総合でA(サングマはB、タルザムはA)




サングマとタルザムは、標高1100〜1700m程度に位置するJayshree tea傘下の茶園。2つは姉妹茶園としてよく知られている。同じJayshree傘下のリシーハット茶園、リザヒル茶園と似たような印象を受けるが……少し違うので、私の分類では一つに統合した。


何故一緒にしたのかは茶園の沿革から見ていくと納得できる。
元々、サングマ茶園とタルザム茶園は隣り合った個別の茶園として存在していた。1933年にはJayshreeが双方を買収したものの、その時点で以後どう運営していくつもりだったのかは不明。しかし、1934年に大きな地震が発生し、サングマ茶園にあった工場が崩壊したことで流れが決まった。茶葉の生産はできても製茶できないのであればどうしようもない……ということで、サングマで作られた茶葉はタルザムの工場へと運ばれて製茶されることとなった。そうしてサングマ&タルザム茶園として統合され、今日に至るまで全ての茶葉は元タルザムの工場で製茶されている。


片方の工場で2茶園分を処理するのではリシーハットとリザヒルの関係と大差ないと思われるかもしれないが、リザヒルはあくまでもリシーハットの区画の一つ。「リザヒル茶園だった部分」で採れた茶葉のみが「リザヒル」の名で出荷される場合があるというだけである。
一方、サングマ&タルザムでは区画など関係ない。ピュアチャイナはサングマの名で、クローナルはタルザムの名で出荷される……どちらもブランド名でしかないのだ。実際に生えているのかは分からないが、仮に旧タルザム区画にチャイナがあったとしても、特別扱いしなければサングマの名で出てくるだろう。ちなみに、チャイナとクローナルが同一ロット内で混ざった場合は、クローナル扱いでタルザム名義になるようである。したがって、タルザム名義の場合はクローナルオンリーとは言い切れない。


ごちゃ混ぜになっていて、最早2つの茶園というのに疑問を感じる以上、私としては一緒くたで考えているものの……一般的には別個でリリースされるしややこしいので、基本それにならっている。
以下では別個で説明を記載。



・サングマ茶園
数年前までは最強の名を欲しいがままにした、チャイナの名手であったが……。どうしてこうなったっ!

スペシャルはファーストフラッシュではコードネームの入ったものがリリースされる場合があるものの、セカンドフラッシュではほとんど見かけない。程よい火入れの「Musk(ムスク)」と強い火入れの「Kakra Musk(カクラムスク)」くらいであるが……それこそが最高。
香りの特徴としては強い火入れからくる、キレのある香ばしさとマスカテルフレーバー。味わいは非常にジューシーで、まるで舌の上で弾けるかのように塩味や酸味が躍り、濃厚なコクが続く……。絶妙な緩急があり、いくらでも飲みたいと思える紅茶が確かにあった。
地力はあるはずだが現在は酷い有様となっていて、例えるならダージリン界の稀勢の里。
香りはまるでダメだが、味に関しては過去の力強さが残滓のように感じられるので復活されることを願っている。


・タルザム茶園
現状サングマよりは完成度の高いお茶をリリースする印象。2020年の出来が芳しくなかったためにひとまず評価はB。絶好調ならサングマはS、タルザムはAクラスのポテンシャルはあるように思う。

クローナル部門というだけあって香りの個性が強く、ロットごとに全く異なる顔を見せてくれる。また、サングマ同様火入れは強く、比較的花香よりもフルーティーさが重視される印象が強い。味はクローナルにしては濃厚なコクが特徴的で、その点もサングマに近いといえる。個性・味の強さは、単一ではない複数品種のブレンドが鍵を握っているため、品種の個性を大事にしたい方にはあまり向かない茶園といえる。ボディーの強さは異なるが、やっていることはネパールにあるジュンチヤバリ茶園と似ている。

スペシャリテは謎系のコードネームが付いたロット……「ミスティック」「ワンダー」「エニグマ」など。また、まれにMoonlightもリリースされる。
さらに、リーフルはタルザムに専用の区画を持っており、「ヤマダバリ」「ユメコバリ」「ヨホバリ」という区画指定ロットをリリースする。これらもスペシャルと言えるだろう。



・サングマ茶園
Thunderbolt Tea ダージリン2020SF サングマ茶園Organic Musk
価格:49ドル/100g
評価:★4
香りは死んでる。味はまずまずだが物足りない。

シルバーポット ダージリン2021FF サングマ茶園Flowrey
価格:1533円/20g
評価:★6
香りは個性的な蜜っぽい甘さ。こってりとした甘みが力強くなかなか良い感じ。

Tea Emporium ダージリン2021SF サングマ茶園Organic kakra Musk
価格:36ドル/100g
評価:★6
香りはダークで今一つ、味はサングマらしいパワーが見えていい感じ。

シルバーポット ダージリン2021SF サングマ茶園Musk
価格:1447円/20g
評価:★7
香りは桃系の軽く若さのあるマスカテル。おとなしめだが、重みはある。コストパフォーマンスは高い。

Uf-fu ダージリン2021SF サングマ茶園Ch Musk
価格:1180円/25g
評価:★2
味も香りも微妙。安いが買わなくていいと感じる。





・タルザム茶園
GoldenTips ダージリン2021FF Himalayan Wonder
価格:34.31ドル/40g
評価:★7
香りは複雑なフルーティー&スパイシー。味は力強く濃厚。

シルバーポット ダージリン2021FF タルザム茶園Clonal Flowrey
価格:1576円/20g 
評価:★5
T78のロット。花香が強く、香りは良いが味が尖っている。

Gclef ダージリン2021FF タルザム農園Himalayan Mystic
価格:5400円/40g
評価:★8
全体を甘いトロピカルフルーツのニュアンスが覆う独特な構成。緩急のある香味でバランスも秀逸。

GoldenTips ダージリン2021FF Moonlight Mystery
価格:42.79ドル/40g
評価:★9
非常にフルーティーで個性的な香り。味わいも良く素晴らしい出来映え。

リーフルダージリンハウス ダージリン2021FF タルザム農園ユメコバリ
価格:4320円/20g
評価:★6
バランスが良くフレッシュさは感じられるものの、質が価格に見合わない。

リーフルダージリンハウス ダージリン2021FF タルザム農園Moonlight
価格:4860円/15g
評価:★9
完成度が高い爽やか系ムーンライト。超高いが、価値はある。

GoldenTips ダージリン2021FF Moonshine Tiara Organic
価格:96ドル/40g
評価:★7
P312を使ったダージリン・ホワイト。フルーティーで少し花の要素がある変わったキャラクター。クリアなキレと強い甘みでバランスは良い。

TeaGardenia ダージリン2021SF タルザム茶園Special Muscatel
価格:26.88ドル/50g
評価:★5
香りはまずまずフルーティー。味は少し尖っている。


シルバーポット ダージリン2021SF タルザム茶園Clonal Musk
価格:1576円/20g
評価:★6
使用品種はT78とB157。複雑な香りで名に恥じないクローナルムスクあり。味は少し苦いがバランスは崩れていない。

Uf-fu ダージリン2021SF タルザム茶園Cl Musk DJ-34
価格:1512円/25g
評価:★2
香りは花香が目立つ。味は美味しくなく、割高感が強い。

Uf-fu ダージリン2021SF タルザム茶園Cl Musk DJ-36
価格:1944円/25g
評価:★5
香りは結構複雑。味は悪くない。でもちょっと高い感じ。
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けy

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基本は国内外から手に入れたシングルオリジンのダージリン・和紅茶のレビュー。緑茶や烏龍茶、フレーバードなどお茶であれば産地・製法・価格問わず紹介しています。
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