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ムーンライトについて

ダージリンの中でも、トップクラスの実力を持つ茶園では「Moonlight」という名を持つロットがしばしば登場します。価格は基本的に高く、同じ店が扱う同じ茶園のロットと比べても2倍以上するなんていうこともザラ。ダージリン紅茶の中でも最高級のお茶と言えるものでしょう。


そんなに凄いの??どんな個性があるの??と気になる方もいらっしゃるはず。
また元々興味はあるけど……しかし、おいそれと手を出すには価格的に厳しいという問題があって飲まずじまいな方もいるかもしれませんね。
買うかどうかはさておき、とりあえず調べてみよう!と思っても、残念ながらどんなものなのか詳しく説明しているところは見当たらない……困ったものですね。


これは私の出番かな?
ということで、ムーンライトについて私の経験と認識から言えることを書いていきます。役に立つかはさておき、情報量が少な過ぎる状況はアカンですからね。



さて、商品の説明ページを見ると、
「月明かりの下で採った茶葉だよ〜」とか、「特別な区画のものだよ〜」とか色々なことが言われますね。これでは結局なんなのさ?とハテナが増えるばかり!
ムーンライト全体に共通する点を挙げると
「クローナル種を用いて、比較的長い萎凋を行った後、揉捻を弱めにして製茶したもの」
となります。
特殊な工程があるわけではなく、普通の紅茶作りの工程をちょっと弄っている感じですね。


クローナル(大体AV2)であることと、萎凋を長く行うのがポイント。香り高くなり、また茶葉はカラカラになるので火香がハッキリつきやすいというのができた茶葉の基本的な特徴になります。さらに、揉捻を弱めることで発酵が進み過ぎず複雑な個性が生まれます。
まとめると、
「水分を含みやすいクローナルだからこそできる攻めた製茶で、一般的なクローナルロットの個性をより強調したもの」
と言えますね。
高級なクローナル種の、製茶を安定させやすい貴重な新芽を使い、手間をかけて作るので単価が高いのは致し方なしです。

はい、ムーンライトの概要については以上です!




で、ここからが本題。
このムーンライトというやつ、厄介なことに名前は同じなのに茶園やロットごとで違いが激しいのです!
高いから良いやつだと思い、買ってみたらなんじゃこりゃ……なんていう事態が起きては手を出すのを辞めちゃう方もいるかもしれない!

この悲劇を避けるためには巧いこと説明しなければならぬ……!
ということで、私が見出したムーンライトらしさ、個性をタイプ別に整理してみようと思います。
基本的に一つのタイプだけでなく複数混ざっているので、必ずしも「こう!」と断定はできませんが……参考程度にはなるかと思います。
例によって私が勝手に大きく6つに分類しただけなので、専門用語でもなんでもありません。お店で言っても通用しないので、使用する際はご注意下さいね。





①ドライ系
よく見る茶園:ほぼ全て(特に多いのはシンブリ、タルザム)

ムーンライトの基本形の一つ。より正確にドライ・シャープ系と言いたいですが、長いのでドライ系と省略。ダージリンの紅茶に見られるドライな火香の発展形。クローナルの芳しさとカラカラとするようなシャープな香ばしさが合わさった非常に華やかでツンと鼻を突き抜けるような感覚。ブーケのように華やかな花香や、強いフルーティーさが伴うド派手な香り立ちが特徴的。
ただし、基本的にトップノートで香るので、これだけだと冷めるにつれてどんどんショボくなるのが弱点。また、香りがドライでシャープなだけあって、味も荒くなりやすいのも注意。



②ロースト系
よく見る茶園:ほぼ全て(特に多いのはフグリ、ロヒニ)

ムーンライトの基本形その2。要は火香が芳しいのが特徴的。ドライ系とは印象が異なり、キレではなく焼き付けたようなのっぺり感、焚いた香木のような印象を受ける。AV2の花香・ボタニカル部分が強調され、魅惑的に感じられる。ムーンライトの名ではないが、アリヤ茶園のRubyが近い。
トップ~ミドルで安定的に香り、味わいもそこまで尖りがないのでハズレにくいのがありがたい。弱点はスペシャルロットという感じがあまりしない点。



③チョコ系
よく見る茶園:キャッスルトン、マーガレッツホープ

茶園特有のナッティーな香ばしさの強化系。ロースト系の亜種と言えるが個性が強いので分けた。より甘く、より香ばしくなり、ナッツというよりも豆やカカオのような香ばしさが出る。焙煎のニュアンスから、軽焙煎のほうじ茶っぽさのようにも捉えられる。
高温時~冷めても安定して香るのが嬉しい。
弱点としては、これだけだと緩急に乏しく飽きやすい点。


④グリニッシュ系
よく見る茶園:キャッスルトン

ファーストフラッシュに限定的に現れる。ハーブっぽいというか、雰囲気はP312辺りの植物っぽいニュアンスが強い。フレッシュさが消え失せている代わりに、枯れ感があって香りの強度が強い。シーズンを問わず見かける、上3つと比べると異質。ムーンライトっぽくないし、クセがあるので好みによっては地雷になりうる。ムーンライトなのに商品説明に「グリニッシュ」と書いてあったら、あっ・・・(察し)。注意すべし。


⑤ホワイト系
よく見る茶園:マーガレッツホープ、バダンタン、キャッスルトン

白茶ではなく、極低発酵のホワイト・ダージリンにムーンライトの要素が加わった型。ドライ系に近いものの、ハッキリしたピオニーやバニラのような甘さが付加されているのが特徴的で別分類とした。
複雑な香りは非常に魅力的。
白茶に近いということもあり、生半可な原料の質では高いだけで薄っぺらい香味にしかならない。しかもムーンライトの中でも特に高値で売られるハイエンド品。買う際には博打をする気持ちで挑む必要がある。


⑥その他の特質系
よく見る茶園:バダンタン、タルボ
出会うムーンライトの9割は①~⑤の中で区別できるが、稀にその枠に収まらないものに出会う。ウーロン茶っぽいものとか、白茶みたいなやつとか。タルザムではこういったタイプはMoonShineの名で出すので回避できるが、タルボやバダンタンではそうもいかない。無二の個性を放つので面白いといえば面白いが、イコール美味しいとはならないのが辛いところ。
数は少ないが、基本的にどれもクセが強いので好みでなかったらご愁傷様です。
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コメント

まさに!ムーンライトってなんだろう?って疑問でしたし
調べてみても「月明かりの下で〜…貴重な〜…」的なものしか出てこなくて謎が深まるばかりでした!!
お裾分けして頂いたムーンライトがまだ幾つかとアリヤルビーが残っているので、こちらの記事を熟読しながら味わってみたいと思います( ´͈ `͈ )✨
けyさんのブログは本当に分かりやすくてお勉強になりますね✨

No title

紅茶の味を語るのは大変なのです。
お茶はひとつの映画のように、
始めから終わりまで移り変わるのです。
なので、どの地点を語るかによって、
感想は変わっていきます。
なので、お茶を語る人が多ければ多いほど、
全体が見えてきます。一人では全体が見えません。
貴重な記事だと思いました。
ひとそれぞれ色んな意見があっていい。

ムーンライトは上手い宣伝

ムーンライトは販売側の高い商品を売るための販売戦略でユーザ-にとっては一つの購入の目安となるのでしょう。リ-フルのあるダージリン茶葉の商品説明は実際購入した紅茶より美味しく記述されていて想像力の豊かさに感心しました。以下「香ばしく甘い香りが匂い立ち、お湯を注ぐと茶葉が開くごとに熟成したフルーツのような香りが重なり、イキイキとした躍動感を感じさせてくれます。しっかりとしたお茶のタンニン味は独特のハニーフレーバーをまとい、深い余韻を残します。●●●農園の秀逸なムーンライトです。」上手い宣伝文ですが一部共感できるので嘘とも言えません。

>くららGさん

こんばんは、コメントありがとうございます!
ムーンライト自体は謎のヴェールに包まれていますが、とりあえず消費者側に大事などんなお茶かを明らかにできたらなと思い書きました。お役に立てれば幸いです!



>林さん
こんばんは、コメントありがとうございます!
とりあえず判断材料がないとどうしようも有りませんよね。
意見の一つとして使ってもらえたら嬉しいです!


>MKさん
試飲するならともかく、飲む前は全く謎なのであの説明は巧いやり方だと思います。
上に書いた通り、正直言って全く規定がないので、「力の入ったクローナルロット(自画自賛)」なら茶園が好き勝手にムーンライトとして出してきます。本当に良いものなのか分からないというのが厄介ですが、良い可能性が高いのは間違いない。
試飲するか他の人のコメントを参考にした後、購入検討するのが一番だと思います!

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Author:けy
基本は国内外から手に入れた紅茶や緑茶や烏龍茶などお茶であれば産地・製法・価格問わずレビューしています。
買う理由が特にない場合は気に入った店のものを中心に購入して飲んでいます。
レビューするお茶に偏りが出ることもあるのはご了承ください。

レビューしてみてほしいお茶がある場合など何かありましたらコメント欄か右のメールフォームからお気軽にお問い合わせください。
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